肥満大学

脳科学お手玉ダイエット

体重はなぜ変わらないのか?

それは、脳が食べる量を一定にコントロールしているから~。

人間を含めた多くの動物は自分の体重を一定に保つという遺伝子を持っています。この遺伝子は、自分の脂肪を1グラムも増やさない、1グラムも減らさないという役割をしています。

脂肪が減ると飢餓の時に生存期間が減りますし、脂肪が増えて太ると他の動物に捕食されたり、獲物をとることができなくなります。

シマウマが草を食べすぎて太ると、ライオンが来たときに逃げ遅れて食べられてしまいます。日照りで食べる草が無いときに脂肪のないシマウマは飢餓で死んでしまいます。ある一定の脂肪を維持したシマウマだけが生き残れるのです。

ライオンにしても同じです。太ったライオンがシマウマを食べようとして追いかけても、シマウマの方が足が速ければ食事にありつけません。

シマウマが見つからない時に脂肪をある程度蓄えていないライオンは飢餓のために死んでしまいます。

この遺伝子のおかげで、人間を含めた動物は、飢餓に耐え、他の動物からの捕食を免れて他の動物との生存競争に勝ち抜いてきたのです。

満腹中枢は脳の視床下部にある。

食べる量を決めるのは、脳の中心にある視床下部と言う場所です。視床下部は、摂食、喝、睡眠、生殖など人間の生命の維持、種の維持の為に必要な機能を果たしています。

視床下部の満腹中枢を抹消臓器である脂肪がコントロールしている。

視床下部が食べる量を制御している中枢だと説明しましたが、実は末梢の臓器である脂肪が脳をコントロールしています。この脳科学的な仕組みは、まず脂肪細胞からレプチンと言うホルモンが出て視床下部のレプチン受容体に働きかけます。

自分の脂肪を維持するだけのレプチンが視床下部に作用するとレプチンの受容体(満腹中枢)のスイッチが入って食べるのを止めます。つまりどのくらい食べるかは自分の脂肪細胞がコントロールしています。

空腹の仕組みは、胃が空になると、グレリンというホルモンが胃の細胞から分泌され、視床下部のグレリン受容体に作用して空腹を感じます。

ダイエットの本質

肥満者は、満腹ホルモンの受容体の感受性が鈍く、空腹ホルモンの感受性が強い状態です。ダイエットとは、満腹の中枢である視床下部のレプチンの受容体の感受性を改善させ、空腹の中枢のグレリンの感受性を鈍らせることです。

カロリーの低い物を摂取することではありません。満腹中枢である視床下部のレプチンの受容体の設定を変えるのがダイエットです。

ダイエットに成功しても脳は壊れたまま

脂肪が減ると脂肪から出ているレプチンが減り、その時点から視床下部のレプチンの受容体が回復を始めます。

つまり減量した時点では脳の満腹中枢の感受性は壊れた状態です。体重が減ったと言う事と視床下部の感受性の回復にはタイムラグがあります。このためリバウンドと言われる現象がおこります。

体重は減っても、視床下部の満腹中枢の感受性は減量に成功した時点で回復が始まりますが、体重が減った時点では以前の感受性の低いまま(つまり壊れたまま)なのです。

感受性が回復するのに必要な期間は受容体の障害の程度、つまり肥満の程度、期間により決まります。

早い人で1年、長い人で2~3年かかります。つまり視床下部の感受性が回復していないその期間ではリバウンドを起こします。

ダイエットを成功させるにはお手玉ダイエット

お手玉の中には小豆が入っていますが、戦国時代は兵糧攻めにあった時は食糧にするためでした。今はそういう理由ではなく、落としても割れないためです。

つまりお手玉は落とすのを前提としています。お手玉を落としても、拾ってまたやってみると徐々に上手になります。

ダイエットも同様で、視床下部の感受性が回復していない状態では、三日間徹夜出来ないのと同様に、必ず食べてしまうものだと受け入れることです。そういう気持ちがあれば食べてしまっても、お手玉と同じようにまたやってみようと何回でも思えば、成功する確率は高くなります。 ですから、肥満大学では「食べちゃってもOKダイエット」なのです。

慶應医学・84(4):227―236、2007

肥満の心理療法 [in Japanese] Psychological treatment for overweight [in Japanese]



慶應医学・84(4):227―236、2007

佐藤 周三 SATO Shuzo
佐藤診療所 Sato Medical Clinic
村川 由梨 MURAKAWA Yuri
佐藤診療所臨床心理部門 Department of Clinical Psychology, Sato Medical Clinic
佐藤 美奈子 [他] SATO Minako
慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科 Department of Otolaryngology, Keio University
山本 基 YAMAMOT Motoi
東京大学医学部整形外科 Department of Orthopedics, Tokyo University
山本 享子 YAMAMOTO Kyouko
慶應義塾大学医学部皮膚科 Department of Dermatalogy, Keio University


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The condition of being overweight is responsible as a major cause of metabolic syndrome. The control of obe・sity is of a great concern in terms of medice-economics.

Diet, exercise, medical and behavioral treatments havebeen employed to control this condition.

But those treatments have some limitations in reducing body weight.We considered that being overweight is a result of a psychological response to the stress of their environmentand human relationships.

To solve these psychological problems, State-Trait Anxiety Inventory (STAI), Self-rating Depression Scale (SDS), Yatabe-Gilford (Y-G) character test, WHO/QOL-26 were employed for psycho・logical evaluation.

Overweight patients showed a high state ef anxiety and trait anxiety by STA1. SDS showedadepressive tendency and Y-G character test showed a self-restrictive tendency, Considering the psychologicaIanalysis of overweight patients, cognitive-behavioral treatment was introduced to treat the overweight patient.

lt is concluded that psychological analysis and periodical interviews by cognitive-behavioral reatment between doctor, clinical psychologist and the patient are essential to treat overweight patients.

さとうのキャラチェンジダイエット 佐藤周三 東京 講談社 2013

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